痴漢プレイの現実と虚構
よく考えたらお金を払えば犯罪の疑似行為ができるというのはなんというかすごい話だと思う。お金を払ってでもやりたい人がいるから犯罪なのか。犯罪だからお金を払って疑似行為をしたいのか。どちらにせよ痴漢プレイは日本の風俗においては比較的メジャーな変態プレイで、イメクラなんかでは電車のつり革がついた専用の部屋があったりするらしいし、痴漢がテーマのデリヘルでは女の子は小道具のつり革を持ってお客さんのところに派遣されるそうだ。
もちろん私も痴漢プレイは何度かした事がある。今日はその中でも印象に残っているお客さんの話を書こうと思う。
私がSMクラブで働いていたとき、台本を持ち込んでプレイするお客さんは珍しくなかった。設定や内容は十人十色で、中には前日から台本を送ってくる人やロングコースの前半は台本を覚える時間に費やす人もいた。件の痴漢プレイのお客さんもまた台本を持ち込んでそれ通りに振る舞ってほしい、という人だった。
「しおり 14才。中学2年生。お化粧に興味はあるがまだ色付きのリップクリームしかつけていない。少女漫画を読むのが大好きで、初恋は部活の先輩。でも男の人は苦手で、話しかけられるだけで赤面して喋れなくなってしまう性格。」
導入がキャラ設定なのは上級の台本プレイヤーだ。実際はもう少し長く書いてあったような気もする。
キャラ設定は重要だ。実際のしおりちゃん(私)は24才(店年齢は19才だった)で毎日スカトロだの縄だのアナルファックだのしてるんだからまずキャラ設定を示さないといけない。
イメージプレイにはリアリティが必須だが、このリアリティというのは妄想の中のリアリティだ。実際に上記のような子に痴漢をしてもじわじわ初めての性の悦びに目覚めるなんて事はまず起こりえないし、そもそも触った瞬間に大声をあげられるかもしれない。今の時代だったら【痴漢発見】なんてTwitterにアップされることだってあるだろう。そんなリアリティは求めていない。
ヒーローはヒロインは不思議な道具を振りかざしたら変身できるように、スパイダーマンが家に帰ってスーツに着替えるリアリティはイメージプレイの中では必要とされ無い場合がほとんどだ。シンゴジラを見て自衛隊のシーンのリアリティを追求するけどそもそもゴジラがフィクションだからって言う話だ。イメージプレイでは現実と虚構のバランスが重要なのである。
気がついたら変態側の視点で文章を書いていてちょっと恥ずかしくなったが、ちなみに演技する側としてもこれくらいキャラを掘り下げてくれた方がありがたい。
(しかもなかなかテンプレ処女厨が考えた可愛い中学生的な設定で私好みだ。)
「痴漢するから嫌がってね」だけ言われても、それはどの程度の嫌がりがいいのか相手の現実と虚構のバランスを汲み取るのは難しい。「なるべくリアルに嫌がって」とは痴漢プレイ以外でもよく言われたがお前のリアルをまず私に詳しく教えろ!と思っていた。だから台本形式というのはとても効率がいいと思う。
とにかくこれから2時間の間私は恥ずかしがり屋の処女しおりちゃん(14)だ。渡された制服に着替えて学生カバンを持った。
【ちょっと今日は遅刻していつもと違う電車に乗っている】という設定の為に少し汗もかいた。準備万端だ。
「ここが電車っていう設定だからね」と壁際を指された。
「左手でカバンを持って、右手はつり革ね。」つり革代わりに渡されたリングを握りしめる。既に気持ちは部活の先輩に憧れる黒髪処女だ。お父さん以外の男の人になんて触った事も無い。
「じゃあもう少ししたら始めるから、よろしくね。」
こうして今でも記憶に残る痴漢プレイが始まったのだった。
【part2に続く】