せりなのブログ

風俗の話をしよう

便器になりたがるボーイの話をしよう①

 

「僕を便器にしてください」

 

便器になりたがる人に会った事があるだろうか。

私はある。

 

 

 SMクラブの待機所(嬢がお客さんを待つ所)の会話なんていうのはひどいもので、日常的に「うんこ」「おしっこ」が飛び交っている。お客さんにつく前にトイレに行こうものなら「もったいないからお客の所で出せ!」なんて言われるのが常だった。新人の頃はかなり面食らったものだけど、慣れというのはまったく恐ろしい。お店の仕事を一通り覚える頃には私も先輩方にまぎれてうんこうんこ言っていた。

 

 「うんこを見て興奮する人」は私の生活の一部になっていた。うんこを持って帰る人、おしっこを持って帰る人、おしっこを飲む人……。3日に1回はそんなスカトロ趣味の男の人と出会う。そんな中でまだ会った事がなかったのがこの「うんこを食べる人」だった。

 

 噂には聞いていたのだ。「女の子のうんこを食べる人」存在を。SMクラブに勤めてしばらく経ったが、まだその存在と出会った事が無かったのは果たして幸運なのだろうか。私が働いていたのは基本的にはS男性が来る店だったし、そこまで本格的なSMクラブではなかったからか、そこまでの猛者は来なかったのかもしれない。

(M男性が来る店ではまぁまぁいるらしい)

 

 初めてうんこを食べられた日の事は今でも思い出せる。「この人、うんこ食べるけど大丈夫だから」と店長は言った。(何が大丈夫なんだろう……)と思ったけど大丈夫と言うから大丈夫なんだろう。前日から言われていたら準備もあるかもしれないが、その日は当日言われたから準備も何も無い。身体ひとつでホテルに向かうだけだ。

 

事務所からほど近いホテルに向かった。お客さんはまだ若くて30代だったと思う。

彼は私を足の先から頭のてっぺんまで見てからこう言った。

 

「僕を便器にしてください。」

 

これが私と便器になりたがるボーイとの出会いだった。

 

 

【続く】